虎姫高校生が取材!自分の意志に従う!にしのあきひろさんにインタビュー

2017年6月3日から11日まで長浜市木之本で絵本『えんとつ町のプペル』の光る絵本展が開催され、初日に作者のにしのあきひろさんのトークショーが木之本スティックホールで行われた。虎姫高校新聞部がにしのさんにインタビューした。


外野の声は無視!


虎姫高校新聞部(以下――)「絵本作家としての仕事や芸人の仕事など、多くの仕事を両立していくときのポイントはどんなことでしょうか?
にしの:ポイント?あ、色んな仕事を同時進行させるためのポイント?まぁなんだろな、程々に外野の声を無視するっていうことだと思う。結構やめろって言う人いるじゃん。その、一つに絞れよって言う人っている。なんかこう、例えばなんだろ、日本って特にだと思うんだけど、二足のわらじだとか、二兎追う者は一兎をも得ずみたいな、掛け持つことをすごくネガティブにとらえる人って多い。てかほとんどそうだから。外野の声はそういうの絶対発生するから、その色んなことを掛け持つ、それを無視するってことだよね。なんか、そんなことよりも、自分の意志に従うっていう。

――「えんとつ町のプペル」はいつごろから構想されていましたか?
にしの:えーっとね、もう5年くらい前。じゃあもう構想されてもうすぐにストーリーを書き始めたっていう…?あ、えーっと、5年くらい前にはもうストーリーは出来上がっていて、そっから時間かけて作ったっていう、そういう、うん。


木之本は駐車場


――木之本に来られてどんな感想をお持ちですか?
にしの:え!ちょっとあの、そこに車つけてもらって、まだあの木之本、ぼく30mくらいしか歩いてなくて、なんか感想っていうとなんかあの、駐車場だなっていう、、今のところは駐車場だなぁ、木之本と言えば駐車場っていう(笑)。駐車場しかまだ見てない(笑)。


作り手を増やす


――滋賀の湖北は過疎化が進んでいます。地方を盛り立てていくのにどのような視点が必要でしょうか?
にしの:えーっと、なんだろなぁ…あれかもしんない、すぐさ、そうなった時に、国からさ助成金、補助金みたいなもの貰いがちじゃん。なんかすぐそうやるでしょ。たぶん、どこの土地も大体するんだけど、そこでひっぱってきて、なんかイベントやったりだとか、「えんとつ町のプペル」って、あの、一生懸命作ったのは当たり前ことなんだけど、いいの作るのは当たり前のことでしょ?

で、一方で、やっぱ多くの人に届けなきゃいけなかったのね。多くの人に届ける時に、何をしたかっていうと、僕達がやったのは「クラウドファンディング」ってインターネット上で、支援を募って、その募ったお金で作品を作って、作品を届けたのね。で、2回の「クラウドファンディング」で、5,600万円くらい集まって、1万人くらいの方に支援して頂いたのね。でね、ただ一方で「クラウドファンディング」って結構ここは教養としてたぶん、知っていた方がいいんだけど、「クラウドファンディング」って寄付型と購入型と金融型と何個か種類があって。寄付型っていうのは要は3,000円支援したら、全部使って下さいよっていうのが寄付型ね。購入型の「クラウドファンディング」っていうのは3,000円支援してくださった方に対して、これこれをお返ししますっていう明確なリターンがある。でも3000円支援してもらっても3,000円使えるわけでは決してなくて、で、もっというとリターンって何個か用意できて、3,000円支援してもらっても4,000円のリターンを返す場合だってある。

ってなったら「クラウドファンディング」は実はそのお金集めのツールでは決してなくて、僕達がなんで「クラウドファンディング」を使ったかというと、1万人の方に支援してもらったってことが、すごく、ここが大事で、例えば僕と山本君(注・新聞部インタビュアー)で一生懸命2人で本を作ったりして1年間一生懸命打ち合わせ重ねて、一生懸命2人で本作ったら最低その本って2冊売れると思う。それは僕と山本君がそれぞれ買うから。思い出として。そういうの2人で作ったものが2冊売れるのなら10万人で作っちゃえば10万部売れるじゃん。つまり僕達はこれまでお客さんばっかり増やすことを考えていたけど、そんなことをしなくても作り手を増やしちゃえばそのまま作り手は消費者になるってこと。

「クラウドファンディング」でなにをやったかってったら、作り手を増やした。1万人で「えんとつ町のプペル」を作ったらまず予約の段階で1万部売れたっていう。で、この人たちは当事者だからさ自分達が制作に参加してるからさ、これは世に出たときに「ちょっと皆みてー!」とか「買ってー!」っていうのをすげー宣伝しだすの。これまでは「えんとつ町のプペル」作る前までは僕はせいぜい宣伝してたのって僕と吉本興業と幻冬舎の人間、せいぜい10人とか15人とかで一生懸命、一生懸命、宣伝してたけど「えんとつ町のプペル」に関しては1万人がまず作り手になって、1万人が宣伝したら発売の段階で一気にばっと拡散したの。

っていうと、「クラウドファンディング」はとにかく作り手を「えんとつ町のプペル」ってとにかくいかに作り手を増やすかってことを考えたのね。で、実は次回作の絵本もある程度制作費はかかって、吉本興業が今度は「うちが全部お金だす」って言ったんだけど、吉本興業がつまり2,000万とか3,000万だすって言ったんだけど、それを僕、断ってる。なんでかっていうと、僕と吉本で作っちゃうと作り手が2人しかいないからさ、広がんないじゃん。で、えーっと助成金の落とし穴ってそこにあって、国からお金貰ったというものの、作ってんのってたぶん、ここの皆さんと国だけだから、当事者になってないんだよ、ほかの人たちが。それはイベントは立ち上げられるけど、お客さんよべないっていう状態になっちゃう。


空海さんと同じ


にしの:これってね、漢字は難しいんだけど涓塵(けんじん)っていう言葉があって、高野山わかる? 和歌山の高野山に空海さんっていう人がそこ開いてそこに高野山って超でっけー町みたいな、作っちゃったんだけど、空海さんがやったのって、国がお金だすって言ったんだけど、高野山を作るためにね、断ってるの。断っていて、一般の方からちょっとずつちょっとずつ、ちょっとずつちょっとずつ支援してもらう、それで高野山ってのを作ったんだけど、そしたら支援した人って来るんだよやっぱそこに。自分たちが支援した町はどうなってるんだって確認作業で来るの。で、要は空海さんも同じことでなにをしたかって言ったら作り手を増やしたってことだよね。参加させたっていう。作る段階から。

だからその地方を盛り上げるってところで一番落とし穴はまずその国のお金をあんまりたやすく使わない方がいい。100万円あげるって国が言おうがほんとにこれ貰っていいお金なのか、それとも100万円をみんなからちょっとずつ集めた方が最終的にはお客さんよばないといけないわけだから、そういうところに陥らないってことだよね。なんか、その甘い話あんま乗らないっていう、そっちがいいと思う。作り手増やすってのがいいと思うよ。


おもしれーことやってほしい


――最後に虎姫高校生へのメッセージをお願いします。
にしの:えー!ちょっと、あの、虎姫高校、僕行ったことなくて、生徒さんがちょっとわかんないんだけど、なんだろなぁ。あの、まぁ少なくとも僕はもう36歳だから僕よりもっともっと若くてもっとおもしれーんだから、なんか見たことないやつを作って欲しい。なんかその、年上の言うことを程々に無視して、年下のが圧倒的に優秀なんだから、種としては年下のが優秀なんだから、あんまこう、おっさんの言うこととか、おばさんの言うこととかある程度は無視して、あいつらなんもわかってないから。わかってねーってか、その、ついていけないの、年下の常識に。僕達は。僕はもはや今の20代の子が何を面白がってるかわかんないし、その下だったらもっともっとついていけないから、だから偉そうにするけど、年上は、程々に無視して。なんかおもしれーことやってほしいね。

 

プロフィール:にしのあきひろ
梶原雄太さんとのお笑いコンビ・キングコングとしての活動のかたわら、絵本作家にしのあきひろとしても活動している。『えんとつ町のプペル』は35人での分業制作で、絵本としては異例の大ヒット中である。
公式ブログ

Interviewer:虎姫高校新聞部

こちらの記事は許可を頂いて、虎姫高校新聞新聞152号から転載しております。


2017-07-14 | Posted in InterviewComments Closed