障がい者施設に訪問して体験したアートの力(上)

「アール・ブリュット」という言葉をご存知でしょうか。

アールブリュットとは、「生の芸術」という意味を持ち、
正規の美術教育を受けていない人が自発的に生み出した絵画や造形作品を指し、
現在ではこの呼び方が定着しています。

私の地元である岡山県で「アートを通して障害者を支援する」取り組みをしてるNPO団体「灯心会」があります。
今年の夏に帰省した際にこの場所に訪れ、職員の松田さんにインタビューをさせて頂きました。

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松田:活動内容としては農業、内職があってその一つとして創作活動があります。
ただ創作活動では現在工賃が出せない現状があって、
ほとんどの人が内職や農業のかたわらで絵を描くっていう感じなんですけど
逆にそれだから絵を描く時間をすごく大事にされていて、
強制ではないので好きな人が好きな時間を見つけて好きなような絵を描くというのが灯心会の特徴です。

――特に時間を決めてやってるわけではないんですね。
松田:そうなんです、そういう時間がとれてる訳ではないので申し訳ないんですが。

――どちらかと言えば自主性ですね。
松田:逆にいえば自分の好きな絵を描きましょうっていう感じです。
灯心会のスタンスとして絵は教えるものじゃないという考えなんです。

たとえばこういった物を書きたいという要望があれば図鑑を持ってきたりだとか、
私自身の仕事としては描いたらまず飾る。みんなに見ていただく。それが次のやる気に繋がると思っています。
できた作品を見られて評価されて認めていくことが大事なんです。それをする中で次に書いてみようかなと。

この前作品展を勝山でさせていただいたんですが地元で自分の絵が飾られる体験をしてもらいたい。
そういうことを続けていくと周りの目が変わってくると本人もやる気が出てくるので、そこに力を入れています。
本当は絵が売れていけばいいんでしょうけど、まだそういった段階ではないので、
まずは環境づくりを大事にしていって「絵を書く事が楽しい」ということから入っていって
その先はどういう風になるかはわかりませんけど(笑)

――もともと松田さんはどういったお仕事をされていたんですか?
松田:僕自身はもともと別の知的障害者の施設で働いていました。
当時、たまたま灯心会の作品展を見に行ったときに、凄くびっくりしたんです。
障害をもたれた人ががまさか作品展をするといった発想がなかったんです。

それがきかっけで休みの日には灯心会のアトリエに遊びにいくようになり、凄くおもしろい活動だなって思って。
好きな絵を書いて、それが評価されてることが素敵だなと感じて概念が変わったんです。

――現在の活動状況は?
松田:作品展を定期的に開催しています。
一番近いもので勝山でやりました(こころの灯展)岡山県美術展覧会に入選作品が16点あるんですが
今まで真庭で大きな作品展をやったことがなくて、紹介も含めて今回勝山で開催しました。

一番の狙いは、地元の描いた人が描いた作品をみせたかった。
結果的にそれは凄く良かったですね。去年は約月1くらいのペースでやりましたね。

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中でも印象に残っているのはアトリエの壁に描かれた藤本隆美さんの作品。
藤本さんは独学で絵を学び、ヨーロッパへ渡り、スペイン、パリを拠点に創作活動を行っていた経験を持つ。

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Artist
藤本隆美(Takami Fujimoto)

2009年 第60回岡山県美術展覧会 県展賞
2010年 第61回岡山県美術展覧会 入選
2011年 第62回岡山県美術展覧会 入選
2012年 第63回岡山県美術展覧会 県展特別賞

特定非営利活動法人 灯心会スカイハート灯
〒717-0741 岡山県 真庭市若代2887-1
灯心会Facebookページ

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2014-10-17 | Posted in InterviewComments Closed